続くrelations

風呂からあがり廊下に出るとそこには瑠夏が居た。今から風呂なのだろうか、軽く声をかけ横を通り過ぎようとすると、腕を掴まれ脱衣所へと戻されてしまう。

「……おい瑠夏、何だ」
「残念だ、もう少し早ければ一緒に入れたのにね」
「入らない。手を離せ」
「つれないなぁ……でもちょうどよかった、キミにお土産があるんだ」
「土産……?……っ!?」

瑠夏が俺の体を壁に押しつけてくると、いきなりベルトを外しにかかってくる。どうにか逃げようと試みるが後ろから抑えられてしまうと抵抗するのは難しく、あっというまにズボンと下着をずり下ろされてしまった。

「瑠夏!何を考えて、っん、う……!」
「ほらJJ、しっかり濡らしてくれよ」

口の中に瑠夏の指が入り込み、それが舌を挟みぐにぐにと刺激してくる。しばらくそうして俺の口腔を弄っていた瑠夏は俺の唾液で濡れた指を口から出すと、そのまま後ろをなぞりそれをつぷりと挿し入れてきた。十分に濡らされていたこともあって痛みはほとんどないが、あまりにも性急に進む行為に俺の体はすっかり固くなってしまっていた。

「待、て、瑠夏……!急、すぎる、ん、あっ」
「そんなに固くなるなよJJ、何も最後までしようって訳じゃない……まぁ、ボクはそれでもいいけれどね」
「何、言って……んっ」

べろりと首筋を舐められ、体が震えてしまう。指が抜き挿しされると少しずつ体の熱が高まっていくのがわかり、俺は壁に爪を立てながらその感覚に耐える。

「……そろそろ、いいかな」
「はあ……おい、もう……っく!」

指が抜かれ息を吐いたのもつかの間、冷たい塊が俺の中へと押し込まれた。指とも瑠夏のものとも違うそれは、俺の後ろを苦しいくらいに埋めている。それが何かというのは概ね想像ついた、十中八九ローターだろう、だとすれば先程言っていた俺への土産とはまさかこれのことなのだろうか。いくらなんでも趣味が悪すぎる。

「瑠夏……っ」
「キミへのお土産だよ、JJ。今夜……日付が変わるころがいいかな、このままボクの部屋へおいで」
「お、い、それまで、入れてろ、ってのか……」
「そうだ。しっかり慣らしておいてくれよ?」

そう言って体を離した瑠夏は、服を脱ぎ風呂場へと入っていってしまった。中途半端に熱くさせられた体をあっさりと放り出され、俺は溜息をつきながらずり下ろされた下着とズボンを履き直し脱衣所を出る。歩くたび中に埋め込まれているものがその存在を主張してくるのでなるべく刺激の少ないよう慎重に足を進める、与えられた部屋に着くまでの距離はいつもの何倍にも感じられた。




そして指定の時間、俺は瑠夏の部屋の前に居た。言われた通りローターを入れた恰好のまま、だ。別に律儀に言い付けを守る必要もなかったのだが、それを破った場合何をされるかわかったもんじゃない。ゴクリと唾を飲んでから、ドアをノックする。

「……瑠夏、俺だ」
「ああJJ、ちょうどいいタイミングだよ、入ってくれ」

ちょうどいいタイミングとは時間のことだろうか、そうであることを願う。いつかは中に霧生が居て酷い目にあったことを思い出す、あのときこれっきりにしてくれとは言ったが、それを2人が聞き入れてくれたかは定かじゃない。
ドアを開くと、正面のソファーにはゆったりとワイングラスを傾けながら瑠夏が座っている。ちらりと部屋に視線をやるが、霧生の姿は見当たらない。

「JJ、何キョロキョロしてるんだ?キミも座れ、一緒に飲もう」
「いや……俺は、」
「座ると辛いかい?まあ少し我慢して、1杯くらい付き合ってくれよ」
「……わかった」

すでに出来上がっているのかやたらと瑠夏は上機嫌だ、わざわざそれに水を差すこともないだろうと俺はゆっくりと対面のソファーに腰かけた。自分の体重で中のものがさらに深く入り込んでくるが、息を止め漏れそうになった声を堪える。その様子を瑠夏は楽しげに見ていた、誰のせいでこんな目に遭っていると思ってるんだと、恨みごとの一つも言いたいところだ。

「ほらJJ」
「あ、あぁ……」

グラスを手渡され、それに口をつける。時折こうして瑠夏の晩酌に付き合うことはあるが、いつも上等なものを飲んでいるようで今回のワインも口当たりがいい。酒の良し悪しなど大してわからなかった俺も、こうして瑠夏やKCの連中に付き合い良いものを飲んでいればその違いに少しは気付けるようになっていた。そのままぐいっとワインを煽り、空になったグラスをテーブルへ置く。

「ははっ、気に入ったかい?」
「どうだろうな、悪くはないんじゃないか」
「気に入った、ってことかな。ボクもこのワインは好きなんだ、キミも、ボスの好みを覚えてきたみたいだね」
「……さあな」

半ば呆れながら答えを返したすぐ後に、部屋にノックの音が響いた。こんな時間にボスを訪ねてくるなんてよっぽど緊急の要件ではないのだろうか、瑠夏に目をやると別段表情を変えずにドアへと目をやっている。その様子にふと、忘れかけていた嫌な予感が戻ってきた。

「ボス……霧生です」
「――っ!」
「入ってくれ」
「おい瑠夏、アンタ……!」

文句を言うより先に、ガチャとドアを開け霧生が室内へと入ってくる。奴は俺を見て驚くわけでもなく、ただ気まずそうに視線を逸らした。霧生はここに俺が居るということを知っていたのか、驚きも噛み付きもしないということはそういうことだろう。
嫌な予感は当たったのだ、またあんな無茶苦茶にされるのはごめんだと急いで席を立ち部屋を出ようと歩き出したところで、突然中のものが勝手に震えだした。

「っあ……!?」
「お、おいJJ……?」
「駄目だろうJJ、ボクは退室を許してないよ」
「瑠、夏、あぁっ!」

どんどんと強くなる刺激に耐えられず膝をつき、睨むようにして瑠夏の方を見るとその手には何かリモコンらしきものが握られていた。多分あれでローターを操作しているのだろう、本当にこの男はこういったことに関する趣味が悪い。

「やめ、ろ、ん、あっ……!」
「ボ、ボス、JJは一体……」
「ちょっとおしおきをね。でも、こうして喘いでるJJは色っぽいな……そう思わないか、霧生?」
「え、あ……その……」
「顔が真っ赤だよ、ははっ、キミは本当にわかりやすいなぁ」

からかうように笑った瑠夏はソファーから立ち上がると俺を後ろから抱き締め、器用に服の前を開き露わになった肌を淫猥な手つきで撫でていく。すっかり熱くなった体はその手の動きからも貪欲に快楽を拾ってしまい、俺は後ろに与えられる強い刺激と瑠夏の手が与えてくるもどかしい感覚に抵抗する力を失っていた。

「んっ、瑠夏、もう止め、くっ、あ……」
「なぁ霧生、こんな乱れているJJを、抱きたくないか?」

その言葉に霧生は肩を揺らす。もしかすると瑠夏は事前にはっきりと言ったわけではないのかもしれない。ただ、期待はあったのだろう。だからこそ瑠夏はわざわざ確認をしたんだ、霧生を共犯にするために。
霧生がこの申し出を断れば、少なくとも前のように2人がかりで無茶苦茶にされることはないかもしれない。奴に縋るのは癪だがこの場合そんなことは言ってられないので、断わってくれという意思を込めて霧生を見る。その視線を受けて霧生は目を見開き、顔を伏せる。

「き、りゅう……」
「……俺、は……」
「どうなんだ?抱きたくないなら、ボクがJJをもらうよ」
「っあ……!」

首筋を軽く噛まれ小さく痛みが走る、まるで本物のライオンのように尖った犬歯が当たったのだろう。次いでそこを舌で舐められ、そのじれったい感覚につい瑠夏の服を掴んでしまう。上から小さく笑い声がしたかと思うと顎を掴まれ、少し無理矢理な体勢で唇を重ねられる。すぐに入り込んできた舌が俺のものと絡まりあい、空いた手は胸の突起を弄り始めた。

「んうっ、は、あ……っ」
「……いいんだな、霧生?」
「っ……待って、下さい」
「…………」

霧生は両手をきつく握りしめながら、何かに耐えるように言葉を漏らした。奴はなにをそんなに苦しんでいるのだろうか、まさか今更俺への罪悪感がわいてきたという訳でもないのだろうし。なら、瑠夏が霧生へ問いかけた言葉に対してなのか。
そもそももらうだのもらわないだの人を物扱いするなと、まともに言葉が紡げたのなら文句を言ってやるところだ。

「……き、たいです」
「聞こえないよ」
「きりゅ……はっ、あ、」
「っ……JJを、抱きたいです……!」
「……わかった、じゃあ今日も、2人でJJを可愛がろうか」
「は、い……ボス」

中で動いているもののスイッチが切られても、すでに抵抗する気力を失っていた俺は瑠夏に抱えられる様にしてベッドへ運ばれてしまう、そのすぐ後ろを付いてくる霧生の顔は冴えない。その理由を問いたくてもすぐ瑠夏に体をうつ伏せに倒され、俺の後ろに埋まっているローターを抜き挿しし始めたので、開いた口からは言葉の代わりにあられもない喘ぎが出るだけだった。数回抜き挿しを繰り返した後、中を埋めていたものがずるりと抜けていく。

「うあっ、あっ……」
「すっかり準備は出来てるみたいだね……あぁ霧生」
「……はい」
「素直に言えたごほうびだ、先にキミがJJを可愛がってやるといい」
「――っ……は、い」

瑠夏が少し離れた場所に腰かけ、霧生が俺の後ろへと回りこんでくる。ベルトの外れる音が聞こえ、すぐ熱い昂ぶりが押し当てられた。抜かれたことで物足りなさを感じてしまっていた体は、それを与えられる期待に震えてしまう。

「あ……霧生っ」
「くっ……JJ……!」

ゆっくりと、ローターよりも大きな塊が俺の中を埋めていく。それだけで俺のものはびくびくと震え先走りを垂らしてしまい、ポタポタとシーツに染みが出来ていく。触れればすぐにでも達せそうなのに決定的な刺激が足りず、かといってまだ残っている理性が自分でそれに触れることを躊躇わせた。

「霧生……あっ、あぁ……!」
「は……っ……!」

全てを埋めきった霧生は性急に抽挿を始める、その刺激で体はさらに昂ぶっていくが、どうしてもあと少しが足りない。懇願するように瑠夏を見ても、俺たちの様子を眺めながら妖しく笑うだけだ。この状況を楽しんでいるのだと、溶け切った脳でもわかった。俺に残された選択は理性を捨て去り自分で触れるかプライドを捨て霧生に触ってくれとねだるかの2つしかない、
しかしこの状況で理性を捨てることはどうしても出来なかった。自分がどうなるか、想像もつかないからだ。

「……き、りゅう……前も……っ」
「っ……J、J……?」
「前、も……触って、くれ……あっ」
「――っ!」
「あぁ、あっ!」

霧生の手が俺のものを痛いくらいに強く握り上下に擦ると、頭が真っ白になるほどの快感が走った。背中が仰け反り、そのまま熱を吐き出す。なかなか冷めてくれない快楽に体を震わせていると落ち着く暇もなく霧生が抽挿を激しくし、俺はまた自分のものが張り詰めていくのを感じながらただその動きに揺さぶられ続けた。すると、今まで眺めているだけだった瑠夏が俺へと近付いてくる。

「あっ、ん……っ瑠、夏……?」
「JJは、随分おねだりがうまくなったみたいだな」
「何、言って……あ、あっ!」
「自分でしているところも見たかったけれど、また今度かな。残念だなあ」
「今度、あっ、なんて、ある、か!」
「強情だな、キミだって結構楽しんでいるじゃないか……ほら」
「あ、あぁ……っ!」

張り詰めていたものの先端を指の先でくすぐられ、そのもどかしい刺激に思わず中の霧生を締めつけてしまう。後ろから苦しげな声が聞こえたが、お前のボスがやったことなのだから文句は言えないだろう。俺自身その刺激でまた先走りを垂らし始めてしまった。瑠夏はそれを指で掬い、先端へ塗りつけるようにして動かす。

「うあっ……!あ、瑠夏……!」
「霧生、キミも手を動かして」
「なっ……!やめ、あっ!」

霧生が言われた通り俺のものを上下に擦りだす、2つの手がバラバラに与えてくる刺激はそれだけで達してしまいそうな快感を連れてきた。

「J、J……っ、あまり、締めつけ、るな!」
「知る、か……なら手を、離、あ、あっ……!」
「くそっ……」

霧生がさらに抽挿を早める、前後に与えられる刺激が強すぎて目が眩みそうだ。深く中を抉られ声を抑えることすらできず、俺はみっともなく喘ぎながらまた熱を吐き出した。荒い息を吐きながら尚も続く霧生の攻めに耐えていると瑠夏が自らのものを取り出し、俺の後頭部に手を添えるとそれを強引に咥えさせられる。

「う、んっ」
「そろそろボクのことも構ってくれよ?JJ」
「はぁっ、ん……ん、あ……っ」

すでに熱く昂ぶっている瑠夏のものを全て咥えることはできず、先の方を浅く咥え舌で刺激する。どうして瑠夏の言うことを素直に聞いてしまうのか、自分でもわけがわからない。状況に流されているのか、それとも先程言われた通り俺自身この状態を楽しんでいるのか、そんなわけないと思いながらもこの男に逆らえない明確な理由が思いつかなかった。
でもそれは霧生も同じだろう、苦しげに葛藤していた奴も最終的には瑠夏の問いかけに頷いたのだから。俺たちはどうしたって、自分たちのボスである瑠夏・ベリーニに逆らうことが出来ないのかもしれない。

「っ……JJ……!」
「んうっ!は……」

霧生は数度深く突き入れながら俺の中へと熱を注ぎこむ。奴が抜けていってすぐ、瑠夏が俺の体を背中から抱き込むと自分の上へと座らせるようにして昂ぶりをあてがった。この体勢だと正面に居る霧生には何もかもが丸見えになってしまう、流石にそれには抵抗があり体をよじるが、瑠夏は意にも介さず俺の腰に手をかけそのまま沈めてくる。先程まで霧生のものを受け入れていたこともあって、そこはあっさりと瑠夏のものを飲み込んでいってしまう。

「瑠夏、待――っあぁ!」
「……駄目だよJJ。キミの感じている顔を、ちゃんと霧生に見せるんだ」
「いや、だ……あ、あ……」

少し呆然とした様子で俺たちを見ている霧生の視線にいたたまれなくなり顔を背けるが、片手で俺の腰を抱え直した瑠夏は空いた手で俺の顎に手をかけ、無理矢理正面を向かせてくる。そうしてゆっくりと、まるで見せつけるかのように瑠夏は俺の腰を沈めていく。

「JJ……ボス……」
「やめろ、瑠夏っ……ん、あ……!」
「ボクだって、さっき散々見せつけられたんだ。おかえしだよ」
「アンタ……のは、タチが悪、っ、あぁ!」

全てを埋めきった瑠夏は、俺をうつ伏せに倒すと背中に伸し掛かるような体勢になり、激しく抽挿を始める。同時に前を握り込まれ擦られると、それはすぐに固さを増し勃ち上がり始めてしまう。シーツを握りしめ強すぎる刺激に耐えていると、突然顎をすくわれ、見上げた先には熱に浮かされたような表情の霧生が居た。その視線は真っ直ぐに俺をとらえている。

「……JJ……」
「きりゅ、う……んぐっ!」

開いていた口に霧生のものが強引に入り込み、そのまま俺の後頭部を抑えそれを前後へ動かしてくる。あまりの苦しさに口の中のものを吐き出してしまいたいが後ろを瑠夏に、前を霧生に抑えられてしまっては最早俺に自由はない、涙を滲ませながら2人の求めを全身で受け入れることしか出来なかった。

「ん、う……っふ、ぅ……」
「っ、そうだ霧生、自分の気持ちに素直になるといい」
「は、ぁ……JJ……!」
「それでようやく、ボクらは対等にJJを求めることが出来る。そうだろう?」
「……っ……はい、ボス……」
「うん、いい子だ」

こいつらはいったい何の会話をしているのだろう、俺は2人から与えられる刺激に耐えることで精一杯になってしまっていて、言葉の意味を把握することすら難しかった。霧生のものに口を、瑠夏のものに後ろを埋められているということにすら興奮してしまっているのかびくびくと体が震え、自分が達しているのかどうかすらわからないくらいに全身を快楽が支配していた。
そうしてその夜2人は何度も俺を求め、俺もその求めを受け入れた。

きっとこの先もこうして2人に抱かれるのだろう、俺たちの間に今までとは違う関係が出来つつあるのを感じながら、
俺の意識は、闇へと沈んでいった。