あけましておめでとうございます!
[2013年 1月 4日]
ふと途切れた会話に隣を見れば、今やシオンのボスであるJJが自分の腕を枕に突っ伏していた。どうやら酔い潰れたらしい。
「あれ……なぁショウ、JJ寝ちゃったみたいだ」
「おやおや、珍しく量を飲んでいましたしねぇ……ふふ、瑠夏が強いのばかり勧めるからですよ」
「心外だなぁ、たまには普段飲まないのが飲みたいって彼が言うから、オススメを教えただけじゃないか。まぁ、強めのものばかりチョイスしちゃったかもしれないけれどね」
ボクの言葉にショウは肩をすくめて笑うと、JJが潰れる直前に飲んでいたグラスをその手から外し持ち上げる。まだそこには、薄い夕焼けのような色のカクテルが少しだけ残っていた。
アンダルシア、辛口のシェリー酒を使っているが、ブランデーの香りとラムの甘みが加わってまろやかな風味のカクテルだ。どちらかといえばカクテルは甘めのものを好むのだけれど、彼が甘みの強すぎるものは得意じゃないというので、知る中でも控えめのものを進めた。
ダーティー・マザーやホワイト・レディ、それとスプリング・オペラもショウにお願いしたら彼はその色模様に魅入って、いつもより少しだけ幼い顔をしていたのを覚えている。ひとつだけ、甘いカクテルでレディキラーとして有名なルシアンもオーダーしてみたら、ボクより先にショウがそのネタばらしをしてしまって、JJは「俺に使う機会はなさそうだな」なんて笑っていた。
どちらかといえば、使われないように注意すべきだと思うのだけれど。こんな風に、無防備に酔い潰れたりしないように。
「懐いてくれた、って事なのかな。それともショウが居るから?」
「さぁ、どうでしょう。僕も、JJのこんな無防備な姿は始めてみました」
そう言ってショウはテーブルに置かれたグラスをキッチンへと片付けていく。嫌味を感じさせないこうした几帳面さは、特に好ましく感じる部分だ。長い付き合いだけれど、そういう細やかな部分はあまり吸収出来なかった。
バーで飲むのもいいけれど、たまには気兼ねせず飲み交わしましょうと自宅へ招かれたのが数時間前。帰りには連絡を入れる事を伝え運転手を帰らせてから、ゆったりと二人で飲んでいた所にJJがやってきた。彼も呼ばれていた事をボクは知らず、そしてJJもボクが呼ばれていた事を知らなかったらしい。自宅だというのに豊富に揃えられたカクテルの材料で、「趣味のようなものですから」と結局バーテンの仕事を始めてしまうショウにもお酒を勧めながら、三人でグラスを傾けていた。
そうして何杯目だったか、ボクやショウもそれなりに酔っていたけれど、二人がかりで酒を勧められたJJは特に回るのが早かったらしく、今ではテーブルに突っ伏して眠ってしまっている。
「ショウ、とりあえず横にならせてあげていいかい?」
「ええ、そこのソファーを使ってください。寝室に運んでもいいですが、あまり動かすと起こしてしまうかもしれない」
「そうだね、じゃあ、っと……」
力の抜けた身体を両腕で抱えると、思ったほどは重くない。身長が低いわけでもない彼の体格から考えると、むしろ軽い部類だろう。そのまま近くのソファーへと運びそっと下ろせば、JJは身じろぎをするだけで起きる気配は無かった。
眠りが浅いという彼も、アルコールがもたらす眠気には耐えられなかったらしい。触れても起きないなんて、常ならばあり得ないだろうから。
だから、少しだけ悪戯心が芽生えた。ショウがキッチンで洗い物をしている間、ここは死角になる。そっとJJの服のファスナーへと指をかけ、そのまま静かに下ろし前を開けば、お酒で体温が上がっているのか肌がほんのり色付いていた。
「へぇ……綺麗だな」
薄い傷は肌に残っているが、目立つ程ではない。デスサイズの異名を持つ彼ならば、その身にはもっと多くの痕が刻まれているかと思っていたが……成程、独り逸れた狼のような生き方をしていた彼にとって、怪我や病気は忌むべきものだ。そうならない方法を、やり方を、ショウすら知らない時間の中で学んでいたのだろう。
消えかけている傷跡をゆっくりと指先でなぞる、くすぐったさにか「ん……」と声を漏らしたJJは、それでも目を覚ます様子は無い。もう少し遊んでみようと今度はそこに舌を這わせれば、際どい場所を掠めたせいか彼の口から声にならない吐息が漏れた。
その妙に艶っぽい反応に段々と後に引けなくなっている自分を自覚しながらも、舌で腹の窪みをなぞり手では尖った突起を弄る。
「ん……あ……」
意識が無くても身体は反応してしまうものだから、JJはボクの望み通りその口から甘い声を聞かせてくれた。ショウが気付いてしまうだろうか、もしかするとショウの事だから、気付いていて何も言わないのかもしれない。
だとすれば遠慮する事は無いと、突起を指の代わりに舌で弄りながら今度はベルトを外しスラックスの前をくつろげていく。下着をずらし僅かに熱を持ったそれへ指を添え、つい、と動かせば、腰がもどかしげに揺れた。
「っ、く……んっ」
やわやわと揉んでみても、全体を包むようにして緩く扱いてみても、完全に勃ちはしない。アルコールを摂取しすぎると一時的に勃たなくなるが、どうやらそれのようだ。しかし感じてはいるらしく、徐々に呼吸が荒くなっていく。
意識が無いまま身悶えている姿というのは、想像以上にエロティックだ。そのまま時折ぴくんと跳ねる身体の反応を楽しみながら弄り続けていると、濡れた手をハンカチで拭いながらショウが戻ってきた。
驚かない所を見れば、やはり気付いていたらしい。
「瑠夏、君は本当に大人しく出来ませんねぇ」
「ごちそうが目の前にあったから、ついね」
茂みを指先で絡めくすぐりながら、それでもボクは半ばこの先の行為を諦めていた。ショウが可愛がっている彼への手出しをこれ以上許すとは思えなかったし、折角なら意識がある時に色々した方が楽しそうだ。
「でも、ショウが止めろと言うなら止めるよ」
それでも、少しだけ仕掛けてみる。息子のように思っていると言ったところで、本当にそれだけの訳が無い。このJJの姿を見て欲情しない程、ショウも枯れてはいないだろう。その証拠に、膝をつきJJへと伸ばした指の動きは、あやすようなそれではなかった。
ほら、賭けはボクの勝ちだ。
「ん……っ、あ……ぁ」
びくん、とひと際大きくJJの身体が跳ねる。ぐったりとソファーへ沈む肢体を、それでもボクらは休ませてあげようとはしなかった。
「さっきから、射精はしてないね。ふふ、なのに何度も達してるみたいだ」
「敏感ですねぇ、止め時を見失います」
JJのものを口から離しながら、ショウは濡れた唇をペロリと舐める。ボクはJJの中に埋めた指をぐるりと大きく動かしながら、これだけ力の抜け切った状態なら意外とすんなり入ってしまうんじゃないかなんて、下世話な事を考えた。
流石に、ここまできて最後までしないつもりはさらさらないが、優先順位を考えるならショウに譲るべきだろう。だけど、少しアルコールが抜けてきたおかげで自分の昂ぶりをはっきりと自覚してる今、終わるのをただ待っているだけは辛い。意識の無い彼では、口淫も望めないのだから。
「んー……流石になぁ」
「瑠夏、どうかしましたか?」
「同時は無理だよなぁって、あぁいや、何でもないよ」
うっかり口が滑ったが、ショウには伝わらなかったらしくホッとした。JJの経験がどのくらいあるかは知らないが、それでもいきなり二人同時に挿れたりすれば壊れてしまうかもしれない、いっそ彼が起きてくれれば簡単に解決するのだけれど。
「……ショウ、頼みがあるんだけど」
「はい、何ですか?」
「先、譲ってくれないかい?」
駄目だと言われれば仕方ない、少し空しいがJJの手でも借りて一人でしていよう。ショウはすぐに意図を察し「そうですねぇ」と顎に手を置きながらわざとらしく考え始めた、相変わらず、こういう所は本当に食えない。
お互いにJJの身体を弄る手は止めず、未だ覚醒しない彼の所有権を巡っていると、ふいに「ん……?」と少しだけはっきりとした声が耳に届いた。ボクらにとってはベストタイミングだが、彼にとってはもしかすると最悪のタイミングだったかもしれない。
「おや、目を覚ましましたね、JJ。具合はどうです?」
「マス、ター……?なん、だか……身体が、熱、い……」
「まだ半覚醒、ってところかな。おはようJJ」
「瑠夏……あ、な、にを……んうっ」
役割は決まった、ショウとアイコンタクトだけで位置決めをすると、JJの身体をうつ伏せ早速その半開きの唇へ張り詰めた自分のものを押しつける。何かを言おうと更に開いた口へ無理矢理に押し込むと、熱い粘膜が包み込むように触れてきた。
これは、想像以上にまずい。耐えていた分、一気に血が集まってくる感覚がしてそのまま動かずJJの髪を撫でた。汗で張り付いた髪を退けてやると、苦しさからか涙を滲ませた瞳で見上げてくる。その後ろで、もっと大変なことが起ころうとしているのに。
「んっ!ぐ、うぅ……っ!?」
「ふふ、驚きの割には力が抜け切ったままですね、JJ。すんなり、ほら、全部飲み込んでくれましたよ」
「あっ、マスター……っ!何して、ぐっ」
「駄目だよ、JJ……ほら、ちゃんと咥えて」
逃げようとするJJの身体を二人がかりで押さえると、無理矢理犯してるようで妙に興奮する。まだ寝ぼけているらしい彼が抵抗らしい抵抗をしないので、余計に止まらなくなってしまうのもあるが。
ショウがJJの奥を突く度に、彼は反動でボクのものを深く咥え込まされる。えずき歪んだ表情も、困った事に官能を煽るスパイスにしかならなかった。本当はもっと、喉の奥まで届くくらいに頬張らせたいけれど、泣かせたい訳ではないから我慢しよう。
泣かせるなら、ショウの位置と交代してからの方がいい。
「あ、あ……っ!」
「あぁ、JJも大分アルコール抜けたみたいですね。さっきと違って、こんなに硬くしてる」
「触、るな……っ、駄目だマス、っああ……!」
「んっ……ショウ、おかげで歯を立てられたんだけど」
「おや、すみません」
悪びれもせず言うショウとは違い、ようやくまともに精を吐き出したJJがこの状況にもかかわらず申し訳なさそうな表情を浮かべる。これだからボクらみたいな悪い大人に付け込まれるんだよと、その頬を指先で撫でた。
「舐めてくれる?」
「……ん……」
「っ……はぁ……上手いよ、JJ……」
ショウが動く度に、JJはその感覚から逃れるように舌を使ってくる。鼻から抜けるような喘ぎに、無意識にかくねる身体に、いよいよ限界が近くなった。このまま彼の口に出すのも魅力的だけれど、折角なら一番深い所で、自分の熱を受け止めてほしい。
「ショウ、少ししつこすぎるんじゃないか?」
「瑠夏、君はもう少し我慢を覚えるべきです」
「耐久力だけじゃ、JJが可哀想だろう?なぁJJ」
「乱暴なのは、彼の好みじゃないと思いますよ?ねぇJJ?」
「どう、でもいい、から……っ、早く、イってくれ……!」
JJのストレートな要求に、ボクらは顔を見合せて笑った後「望み通りに」と、咥えさせている二つの場所を思うままに掻き回した。彼の中へ熱を吐き出したのは、ほぼ同時だったように思う。
ようやく終わったと、また意識を落とそうとするJJを抱え、3人でベッドへ移動した。驚きに目が覚めたのかさっきよりはっきりとした様子のJJを押し倒し、逃げようとする腰を掴み引き寄せると、一気に貫く。
「あぁあ……っ!」
「は……っ、やっぱり、意識がある方がいいね」
「ボクにも確かめさせてくださいね、瑠夏」
「あぁ、彼が気絶しなかったらね」
軽口を交わしながら、またボクらはJJに触れ始めた。その会話が聞こえているのかいないのか、JJは必死にシーツを掴んで律動に耐えている。くたりと力が抜けたまま弱い反応を返してくれる様も可愛かったけれど、今の方がボクは好きだ。
ショウがJJに口付けているのを眺めながら、離れたら今度はボクがJJの唇を奪ってやろうと、心の中でショウへ宣戦布告した。
おわり
あけましておめでとうございます!
[2013年 1月 4日]