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目が覚めると、訳がわからない状況だった。両手両足がそれぞれまとめて縛られ、何故か一糸まとわぬ姿で硬いコンクリートの床に転がされている。唯一自由に動く首をぐるりと回し周囲の様子を探れば、壁や天井も床と同じ灰色のコンクリートで、寝転がっている状態では遠く感じる天井では、古めかしい白電燈が時折チカチカと明滅していた。角に見えるのはスピーカーとカメラか、良く見れば同じものが四つ角全てに設置されている。
寝起きとはいえ、まるで薬でも嗅がされた後のように頭がハッキリしない。確かシオンの事務所で、身内を集めた新年会を行なっていたはずだが……勧められるままに飲み過ぎたか、途中からの記憶が曖昧だ。
多分この状況は、そこにいた奴らの手によるものだとは思うのだが。

「っ……く、離れ、ろ……!」

そんな空気すら冷えた場所で、俺は全身を蛇に嬲られていた。自由にならない身体を捩って、這ってくる何匹もの蛇から逃れようとするが、振り払ったところですぐによじ登ってこられる。毒を持った種類ではないはずだが、詳しくはわからない。幸いに敵意を持っている様子は無く、この状況では多分噛まれないだろうと楽観するくらいしか出来る事は無かった。
もっと激しく暴れてみれば腕の紐くらいは緩むかもしれないが、同時にこの蛇達を刺激してしまうのではないかという恐怖で、弱々しい抵抗しか出来ないでいる。

「……っ、は……!」

その蛇の特性なのか、それとも自分の全身に何か塗りつけられているのか、這われる度に蛇達はランダムに肌の上をぬるぬると滑った。くすぐったさと気色悪さにせめて身体を丸めて耐えようとしたが、滑りの良い身体の隙間に、蛇は容易く潜り込んでくる。

「っう……止め……っ」

好き勝手嬲られていると次第に気色の悪さが薄れ、そのままあちこちと這いまわる蛇が時折性感を刺激してくるので、最悪なこの状況でも熱が上がっていく自分に嫌気がさした。半勃ちになった中心へ、興味深そうに蛇が絡み付いてくる。巻きつかれ軽く締め付けられ、そこはすぐにすっかりと勃ち上がってしまった。
自分の反応が嫌で仕方ない、確かにここ最近抜く暇すらないような忙しさではあったが、蛇相手に息を荒くし、先走りまで漏らし始めているこの状況はいくらなんでも情けなさ過ぎる。
ここに自分以外が居ないのがせめてもの幸運だろうか、いや、あの角に設置されたカメラでこの姿は録画されているのかもしれない。そうしてどこかでその映像を見てるやつらが居るとすれば、最悪な事にそんな悪趣味な真似をしそうな男に一人心当たりがある。

「宇賀、神……! お前、だろう……っ」

向こうからこちらに声を届ける手段が無いのか、それともシラを切るつもりなのか、自分の漏れる呼吸と蛇達が蠢く音の他は、部屋にはどんな声も聞こえてこない。しかし逆に言えば、その沈黙が何よりの答えだろう。もしこれが奴らの悪ふざけでなければ俺は今頃毒蛇に全身を噛まれ、地獄に居るところだろうから。
宇賀神の単独か、あの場にいた全員が結託しての事かは知らないが、自分の痴態を見せつける趣味はないのだから、無駄に楽しませる必要も無い。身体をうつ伏せの状態にし、少しでもカメラの死角がある場所へ移動しようと試みる。
それで無防備になった部分へ、蛇が忍び寄るのも気付かずに。

「ひっ……!」

尻の間へ潜り込むように、細身の蛇が後孔をその皮膚でぬるりと撫でた。デコボコとした頭部がどういう意図かそこへ入り込もうとしてくる、そのおぞましさにまた身体を捻りその蛇を潰そうとするが上手い具合に隙間に入られ、窄まりを強く撫でられる感覚に身体が震える。

「止め……っ、あ、嫌だ……!」

入り込んでくる、皮膚を粘液に浸したような細身の蛇が、少しずつその身を俺の内へと潜り込ませていく。内臓を食い破られるかもしれない、その身体がどこまでも深く入り込み、中からいたぶられ殺される想像が頭をよぎった。恐怖に固くなる身体に、しかし少しも俺の心情を介さない蛇達は変わらず這い回っていく。

「あっ……ぐ、出て、いけ……ふ……っ」

うねうねと動きながらまるでそこを解すような動きを続けられれば、蛇の動きを知ろうと鋭敏になった精神と身体はより煽られ、恐怖から逃れる為か与えられる快楽が増していった。こうした時の苦痛も恐怖も長くは持たない、身体がそれらを弱めようとして、別の感覚に集中させるために回路が作り変えられるのだ。
蛇が焦れったい動きで昂ぶりを擦る、隙間の存在を知った別の蛇が、同じように後孔へ潜り込んでこようとする、縛られた腕の先で手を固く握りながら、俺は徐々に抵抗する気力を失っていった。





「あっ……は、もう、入ら、な……あぁっ!」

幾度目かの絶頂に意識が途切れそうになる、何匹の蛇が潜り込んでいるのか、もうわからない。中を探るように潜っていった蛇は、しばらくすると出ていくがすぐその隙間に別の蛇が潜り込んでいく。細身の奴らばかりとはいえ何匹もに後孔を埋められれば、そこは引っ切り無しに苦しさを訴えた。

「ん……っ、ぁ……」

ぐちゅり、とまた蛇が抜けていく。やっと気が済んだのか、それを皮切りに他の蛇達もそこから顔を出し、待ち望んだ解放感に俺は身体をぐったりと床へ横たえた。ようやくこの悪夢のような時間が終わる、存分に俺の醜態を見て、これを仕掛けた奴らは満足したのだろうか。これに対する見返り、というか謝罪を……今は、思い付かないが、何かさせなければ気が済まない。
散々嬲られた後孔がじくじくと熱を持っている、切れたりはしていないようだが、容赦なくしかも何匹もに中で動かれたせいもあって、全身の感覚がはっきりすればきっと痛むだろうと感じた。

「はっ……っ、う……?」

ずるり、とひと際耳につく音がして、そこへ視線を向ける。そうしてすぐその行動を後悔した。見なければ済むという事でもないだろうが、今まで見た中でも一番太く巨大な蛇が、チロチロと舌を覗かせながら自分の方へと向かってきているのを瞳に映してしまえば、もう次にどうなるかが嫌でもわかってしまうのだから。
焦って身体を転がそうとする、簡単だ、焦る必要は少しも無い、そう言い聞かせながら身体を捻るがそいつは図体の割に動きが俊敏だったようで、ぬらりと嫌な光を放ったまままた蛇が、俺の中へ潜り込もうと頭部を擦りつけてきた。

「嫌だ……っ、無理、だ、止め……!!」

悲鳴のような俺の言葉で、ここに居る蛇達が止まる訳は無い。まだ潤んだままの後孔に蛇の頭部が触れる、張り出したその太い頭で抉じ開けるようにして入り込もうとしてくる動きを拒むため、俺は全身を強張らせ押し返そうとした。しかしすっかり解れてしまったそこは、到底無理だと感じたその蛇の太い頭部を、ゆっくりと受け入れてしまう。

「ひ、ぐ……っ、あぁっ、い、あ……!」

目の奥が熱くなる、痛みに視界がチカチカと点滅し、はっきりと色がわからなくなる。息が吸えない、俺の中へ潜っていた蛇達がまた肌を弄っていく、快楽が僅かに痛みを散らす、無理矢理入り込んできている蛇の頭部が、ようやく、中へ埋められた。

「は……っう、出て、くれ……あぁ……っ」

更に奥へ、もっと奥へと潜り込んでくる蛇の動き。苦しいままに中の粘膜を容赦なく擦り上げ、過ぎた苦痛と快楽で意識が遠くなっていくのを感じた。狭い中を広げていくかのように潜り、他の蛇達はまた好き勝手に俺の全身を犯していく。どの感覚が一番強いのかもわからないまままた吐精すると、俺の意識は闇に落ちていった。





「うわ……えげつな、まだ犯しとるであの蛇ら」
「そう言いながら、その緩みきった面は何だよ橘」
「意識が無いままに犯されている姿も、これはこれで悪くないね」
「ふふ、まるで自分が彼をそうしたいというような言い方ですねぇ、瑠夏」
「…………」
「んで……こっちはこっちでスプラッターやしな……」
「霧生!? あーあ、スーツまで真っ赤じゃないか」
「でも、とても安らかな表情をしてますね」
「いやマスター、そんな故人に言うみたいに……」
「ごちゃごちゃうるさいですよ貴方達、彼の声が聴こえない」
「なぁ宇賀神、一体どんな調教をしたら、あんなに都合よく動いてくれる生き物が出来上がるんだい?参考までに教えてくれないか」
「お断りします。貴方が誰相手にそれを使うのかわかっていて、わざわざ塩を送る馬鹿はいない」
「残念。ならせめて、終わりまでは彼の姿を堪能するとしようか」
「いやぁ、良い一年になりそうです」

JJが身内と呼ぶ彼らによる強制的な「お年玉」の徴収は、まだまだ終わらないようだ。



おわり


あけましておめでとうございます!

[2013年 1月 4日]