繋がるtemperature

もう暦上では夏も終わっているというのに、その日も残暑が厳しく夕方前には体中が汗でべとつき、流石に不快だった俺は暑さを凌ぐ意味も兼ねて水風呂へ入ることにした。シャワーで水を浴びるだけに止めようかとも思ったが、今日は熱帯夜になると聞いていたためそれでは足りないと思い浴槽に水を張り、お湯で頭と体を簡単に洗うとすぐ浴槽へ身を沈める。こんな暑い日はお湯で身体を流すだけでも拷問だ。

「……ふう……」

少し冷た過ぎるように感じた水もしばらくすると馴染み、俺はようやくもたらされた涼しさに溜飲を下げた。しかし、流石に長く浸かっていると冷たいはずの水もぬるく感じ始める。
頃合いか、と浴槽を出て脱衣所のタオルで身体を拭き、服を着て廊下へと出た。

「JJ?こんな時間にお風呂に入っているなんて珍しいね」
「……瑠夏……に、霧生か」

俺の姿を見るや否や嬉しそうに頬を緩ませながら近付いてきたのは、この屋敷の主でありキングシーザーのボス、瑠夏だ。どうやら一仕事を終え帰宅したらしく、その後ろにはいつものように霧生が付き従っている。
なんとなく、この2人が揃っている時に出くわすのは気まずい……というか、こいつらに散々好き勝手された記憶のせいで身構えてしまう。

「んー?でも、お風呂って割には…」
「……っ」

瑠夏の手が俺の首元をすっと撫でる。青い瞳が妖しげに揺れているように見えて、思わず目を逸らした。

「冷たい……ふふ、流石のキミも暑さにやられて水風呂かい?」
「まぁ、な……」
「外は暑かったからね、ボクらはほとんど室内に居たからそうでもないけれど、それでも外に出た時の暑さにはうんざりしたよ……なぁ霧生」
「そうですね……確かに冷たいものが恋しくなる気温ではありました」
「冷たいもの……そうだね、今すぐ欲しいな……ね、JJ」

その言葉のすぐ後、突然瑠夏が俺の腰に手を滑らせそのままぐいと自分の方へと引き寄せてくる。冷えた身体に瑠夏の体温はいつもより高く感じられた。肌同士が触れる場所はいっそ熱いくらいだ。瑠夏は体を密着させ、俺から涼しさを奪っていく。止めろと言いながらもぞもぞとその腕の中で動くが、当然瑠夏がそのくらいで離してくれるわけもない。

「ん……冷たくて気持ちいいなぁ……ほら、霧生も触ってごらん?」
「は……いや、俺は……」
「冷たいものが恋しいって言ったのは霧生だろう?JJ、冷たくて気持ちがいいよ?」

だったらお前らも水風呂に入ってくればいいだろうと言おうとしたところで、唐突に瑠夏が唇を自分のそれで塞いでくる。あまりにも突拍子もない行動に対応出来ず、俺はされるがままに瑠夏に唇を貪られた。

「ふ、ぅ……ぁ……」
「ん……はぁ……ふふ、口の中も冷たい」
「はぁ……っ、瑠夏、いきなり何を……」
「霧生、ほら早くしないと、JJがぬるくなっちゃうよ?」

俺は食べ物か何かか、と呆れていると、ふいに熱い体温が俺の首の後ろに触れた。驚きに息を詰まらせ振り向くと、すぐ後ろに相変わらず憮然とした表情の霧生が立っていた。俺に触れている指が、何かを探るように肌をなぞっていく。

「っ、おい霧生……」
「確かに、冷たいですね……しかしどれだけ浸かっていたらこんなに冷えるんだ、暑いとはいえ風邪をひくぞ」

眉を顰めながらも、どこか心配そうな声色でそう告げた霧生に、俺は風呂にかけた時間を思い返す。正確な時間は分からないが、10分以上は浸かっていたように思う。すっかり水の温度に慣れてしまって気付いていなかったがどうやら体の芯まで冷え切っていたらしく、こうして他人の体温に触れて初めて体温が下がり過ぎていることに気付いた。
急に襲ってきた寒気に小さく体を震わせると、俺を抱き締めている腕の力が強まる。視線を瑠夏に戻すと、妖しい色を宿した青が細められた。この男がこういった表情をするときは、碌なことにならない。

「なら、ボクらで温めてあげようか、ねぇ霧生?」
「は……――っ!」

言外の意味に気付いたらしく、慌てたように言葉を詰まらせる霧生。嫌な予感というのはことごとく当たるものだ。

「お、い、離せ……!」
「駄ぁ目、霧生の言う通り、風邪をひいたら大変だろう?」

どうにか逃げようとする俺の抵抗を全て軽くかわしながら瑠夏の部屋まで連れてこられると、そのままベッドへと押し倒される。押し退けようとする俺の腕を瑠夏の命令で霧生が押さえ、咄嗟に睨みつけると何かを期待するような強い瞳で見つめ返された。ぞわり、と、肌が粟立つ。

「寒いからかな、もうここ、尖っているよ」
「っ……!」

服の下に手を滑り込ませた瑠夏は胸の突起に手を添え、指で挟むとそのまま弄り始める。じわりとした熱が快楽を連れて下腹部へと集まっていく、抵抗が出来ないせいか、その感覚はいつもよりずっと鋭く俺を煽る。漏れ出しそうな声をなんとか押し殺していると、瑠夏の空いている手が俺の唇を妖しげになぞった。

「JJ、駄目だよ、声を聞かせて」
「……っ」
「ほら、JJ……」
「っ、ん……」

唇を割って瑠夏の指が入り込み、くすぐるように歯列をなぞり口を開くよう促される。同時に胸の突起を押し潰され思わず開いた隙間に瑠夏が指を割りこませてきた。舌を弄るように差し込まれた指のせいで、歯を食いしばり声を殺すことが出来なくなってしまう。

「は、ぁっ……」
「ふふ、やっぱりJJの声はいいな……霧生もそう思うだろう?」
「……は、い……」
「キミに押さえつけられてるからか、いつもより敏感になってるみたいだし……」

瑠夏の熱い舌が、喉をべろりと舐め上げる。それだけでも喉の奥から甘ったるい声が上ってしまい、羞恥で口を閉じたくとも瑠夏の指が邪魔で、俺は瑠夏の望むままに喘がされてしまう。服の下に潜り込んでいた手が抜け、今度はファスナーを全て下ろされる。晒された肌の上を瑠夏の手と舌が這いまわり、奥にある熱を引きずり出していく。

「や、め……っ」
「頬が染まってきたね……少しは暖かくなったかい?」

からかうような言葉と共に瑠夏の唇が、先程まで弄られていた所為で敏感になってしまっている突起をやわらかく食む。舌先でくるりとなぞられ吸われると、強い快感に身体がびくりと跳ねた。押さえつけている霧生の服の袖を握りしめると、ふいに押さえつけている力が緩む。今なら抵抗して逃げる事も出来るだろう。
が、一度火をつけられてしまった身体をこのままにされるのは耐え難い。理性が溶けだしていく感覚のまま、俺は緩んだ腕を解きそのまま霧生にしがみつく。

「っ……JJ……?」
「あ……っ、や……」
「もう拘束も、ボクの指も必要ないかな……霧生、こっちにおいで」
「は……はい……」

瑠夏は口から指を抜き俺の上からどけると、すぐ横に膝をつき先程解放されたばかりの手を一纏めにし、そのまま優しく押さえつけてくる。拘束が必要ないと言ったばかりの瑠夏が何故またそんなことをするのかわからず視線を向けると、楽しげに細められた瞳とぶつかった。すぐそれが迫り唇を重ねられる、熱い舌が口腔で動き回り、更に思考は溶けていく。

「ふ、ぁ……」
「ん……」
「んぅ……っあ……!」

口に含まれているのとは逆の突起を同時に強く押し潰される。わざとタイミングを合わせたのだろう、不意に離れていった唇のせいで俺はそのまま甘ったるい声をあげてしまう。

「やっぱりこうして押さえつけられていた方が気持ち良さそうだ……無理矢理されている感じで興奮するのかな」
「何、言って……んっ、あ……っ」
「霧生、JJのここ、もう苦しそうだよ?」

胸に触れていた手で前を布越しに撫でられると、あらためてそこがすっかり張りつめてしまっているのを感じ顔に熱が上がった。弱い刺激がもどかしく、もぞりと脚を動かすと、傍に居た霧生がカチャリとベルトを外し下着ごとスラックスを脱がしてくる。外気に晒されたそれは胸への刺激ですっかり昂ぶってしまっていて、触れられることを待ち望むかのように震えた。

「っ……ん……」
「……もう、こんなに……」

どこか悔しそうに呟いた霧生は、長い指でそっと俺のものを包むように触れ、ゆっくりと上下させる。ダイレクトな快感は電流のように身体に走り、さらなる刺激を求めるように、間に座る霧生の身体を脚で挟むようにして太ももを擦りつけた。
瑠夏は一層俺を煽るように、また胸への刺激を再開する。同時に与えられる快楽は、元々頼りなくしがみついていた理性の糸を簡単に断ち切ってしまう。

「あっ、あ……!も、っと、きりゅ……!」
「っ……!あ、あぁ……」

喘ぎと共に霧生の名前を呼ぶと先程とは違い少し表情を綻ばせ、そのまま顔を下げると俺のものをその口に含んだ。口腔のぬるりとした感覚に、俺は押さえつけられている瑠夏の手をぎゅうときつく握る。痛いくらいの力が加わっているはずなのに、瑠夏は眉をしかめる事もなく微笑むとまた俺の唇を塞いだ。
先程は熱いと感じた舌も、今では体温が溶けあったかのような温度で歯列をなぞり、求めるように差し出した舌を絡め取られ一層口づけを深くされる。水音が二重に俺の耳を刺激し、それすら官能を高めるための材料にしてしまう。

「んうっ、は、あ……っ」
「ん……っ、JJ……もう、イきそうだな……」
「言う、な……っ、あ、あぁ……っ!」

霧生が舌先で先端をぐり、と刺激し、射精を促すように吸い上げる。その誘いにあっさりと負け、俺はそのまま霧生の口へと熱を吐きだした。快感を与えられすぎたせいか絶頂の感覚はなかなか終わらず、身体をびくびくと震わせていると霧生は全てを吐き出させるように数度軽く吸い上げる。その感覚に、腰の奥がじわりと疼いた。

「はぁ……っ、あ……」
「ん、く……っ……」

わざとなのか、無意識なのか、喉を鳴らしながら俺が吐き出したものを飲み込む霧生。少し口の端から零れてしまったものを自分の指ですくい、舐め取る。その動きはいつもの奴と違い、やけに艶っぽい仕草だった。先程の行為も随分手慣れてきたと思ったが、最初のころの恥じらいも今では鳴りを潜めているように思う。
霧生はそのまま指を咥え自分の唾液で濡らすと、躊躇いなくそれを俺の後ろへと滑らせた。絶頂を迎えたばかりで敏感になっている身体はそれだけで震えてしまう。その反応を小さく笑った瑠夏は、耳元に唇を寄せそこをぺろりと舐めた。

「んっ……!」
「よっぽど気持ち良かったんだね……妬けるなぁ……」
「瑠夏……いっ……!」

そう低く囁いた瑠夏は、胸の突起を爪でがり、と引っ掻いた。痛みと同時に甘い快楽が襲い身体を捩ったが、手を押さえつけられているため逃げる事は出来ない。離してくれ、と訴えるが瑠夏はそれを聞き入れず、耳を弱く食みながら今度は優しく突起を弄り始める。その感覚に集中していると、ゆるゆると周囲を撫でていた指がつぷりと埋め込まれた。異物感に内部がその指を締めつけるが、構わずそれは深く入り込んでくる。

「く、ぁ、あ……」
「……おいJJ、指を食い千切るつもりか」
「ふふ、もっと欲しくて仕方ないんだよ」
「そう、なんですか……?」

瑠夏の言葉を真に受けたのか、霧生はゆっくりと中をかき回しながら入り込む指の数を増やしていく。瑠夏は戯れに指や唇で愛撫を繰り返し、2つの刺激に先程吐きだしたばかりのものはまた昂ぶっていってしまう。そろそろいいんじゃないかな、と生理的な涙の浮かぶ瞳の向こうで瑠夏が笑った。その言葉の意味に気付き、また腰の奥が期待に疼く。

「ねぇJJ……どっちが欲しい?」
「んっ……何が、だ……」
「ボクと霧生、先にどちらが欲しい?キミに選ばせてあげるよ」

瑠夏の発言に、俺は目を見開く。俺の中から指を抜いた霧生も息を飲み瑠夏を見つめたが、当の本人は涼しげに笑みを浮かべている。
今までこんな風に問いかけられたことはなかった、何故今日になって俺に選択権を委ねるようなことをするのか。瑠夏の表情を見てもその真意は計れない、ただ楽しげに口角を上げ、どうする?といつもと変わらない口調で答えを求めてくる。

「っ……」
「選べないかい?流石に2人一緒は無理だよ?」
「なっ……!当たり前だ……!」
「まぁ、キミはいつもこっちでも楽しませてくれるけどね」

そう言って唇をなぞり、数本の指を口の中に咥えさせられる。舌を撫でるように抜き差しされるその感覚に、瑠夏の言う「いつも」を思い出してしまい喉の奥から小さく声が漏れた。

「早く欲しい、って顔だ……霧生、キミはどうしたい?」
「っ、お、俺は……その……っ!」
「ふぅ……キミらは2人して優柔不断だなぁ……」

呆れたような溜息を吐きながら瑠夏は俺を押さえつけていた手を解き、そのまま俺を自分の方へ後ろ向きに抱き寄せた。ベルトの外れる音の後、背中に固く熱い塊が押し当てられる。耳元で「膝を立てて」と指示され従うと、腰を抱えられうつ伏せに倒されてしまう。
すぐ、先程まで背中に触れていたものがすっかり解された場所にあてがわれ、先が押し入ってくる。

「っあ……ぁ」
「ボクだって我慢の限界だからね……霧生、先にJJをもらうよ」
「え……あ……」
「欲しい時は素直に言わないと、こうして奪われるかもしれないよ?」
「……っ……!」

からかうような瑠夏の言葉に、霧生は辛そうに眉を顰めた。俺はゆっくりと埋め込まれていく存在を受け入れるのに精一杯で、そのやりとりにどんな意味があるのか考える事が出来ない。ただシーツを握りしめていた手の力をどうにか抜き、最初のように傍に座りこむ霧生の服の袖を握る。
びくりと大げさに反応した霧生は俺の顔と掴まれた袖を交互に見て、どうしてか涙を滲ませた。何かの衝動に駆られるように俺の頬に触れ顔を上に向けさせると、噛みつくような勢いで口付けてくる。入り込んできた舌の温度は、瑠夏と同じように熱い。

「んぅ……っ、ん……」
「んっ、は……JJ……っ」
「きりゅ……っあ、あぁ……!」

全てを埋め込んだまま動きを止めていた瑠夏が、ギリギリまで引き抜いたもので突然深く貫いてくる。強い衝撃に中のものをきつく締めつけてしまうと、背中に瑠夏の苦しげな吐息が触れた。

「は……っ、JJ……」
「あっ、ん……!瑠、夏……っ、待……!」
「充分待っただろう……?さっきも言ったけれど、ボクももう我慢の限界なんだ……っ」
「っあ、あ!瑠夏、激し……っ!」

突然の激しい攻めと、奥の弱いところを的確に突いてくるその動きにびくびくと身体が震え、喉の奥からは押し出されるよう立て続けに甘ったるい声が上がる。
霧生の手が頬を滑り顎に添えられると、親指が口の中へ入り込んできた。見上げた先の瞳は計り知れない熱を含んでいるように感じ、俺を欲しているのだと、言葉以上に伝えてくる。
快楽に震える手をどうにか霧生へと伸ばし、ベルトを外しスラックスの前をくつろげた。熱く張り詰めた存在に手を添えそれを口腔へと招き入れる。口の中に広がる雄の味と匂い、上から降ってくる苦しげな霧生の吐息に、ぞくぞくと官能が刺激された。

「んう……っ、ふ、ぅ……!」
「っ、は……JJ……っ」

瑠夏は何故か楽しげに笑いながらも容赦なく俺を攻め立てる。後ろを貫かれる感覚に必死で耐えながら、霧生のものへ舌を這わせ、唇で挟んで上下させる。その内口の中に収まりきらなくなり、浅く咥えながら先程自分もされたように先の方をぐりと刺激しながら両手の指で全体を上下に擦ると、霧生は俺の髪をくしゃりと掴み苦しげな呻きと熱い吐息を降らせてくる。

「っ……JJ、霧生のを咥えながら自分も感じているんだね……いやらしいな」
「っう、む……!んん……っ!」
「っあ……!」

霧生に煽られつい瑠夏のを締めつけてしまい、お返しとばかりにまた深く貫かれる。その衝撃で霧生のものに歯を立ててしまい、霧生がびくりと震えた。頭を掴む手に力が入りぐっと深く咥えこまされ、そしてそのまま喉の奥にどろりとしたものが注がれる。
霧生のものが口から抜けていき、俺はむせそうになるのをどうにかこらえそれを飲み込む。

「っ……は、ぁ」
「っ……JJ……次はボクの番だよ……」
「あっ!や、瑠夏……!」

いきなり前を強く握りこまれ、身体が崩れる。強く締めつけた瑠夏のものは熱く昂ぶり、容赦なく俺の中を擦りあげた。シーツをきつく握りしめる俺の手を、霧生の手が包むように触れる。らしくない優しい仕草に奴はどんな表情をしているのか気になったが、それを窺うほどの余裕はない。額をベッドに押しつけながら、内と外に与えられる刺激を受け入れる。
ざわり、と絶頂の感覚が迫るが、強く握りこまれたそれは熱を吐き出すことが出来ず、そのまま内側で量を増していく。獣のような荒い吐息が背中に触れた、こうした行為のときの瑠夏は酷く扇情的で、その吐息や声だけで欲望を煽ってくる。内にある熱や欲を引きずり出し、この男に抱かれたいと、そう望んでしまう程に。

「やぁ…っ!瑠夏、イかせて、くれ……!」
「駄目だ、まだ全然足りないよ……っ、JJ、ボクも満足させてくれるだろう……っ?」
「あっ、ん!瑠夏、待っ!」

頭が熱く、意識はどんどん溶けていくのに与えられる刺激で気を失うことは出来ない。深く抉られる度に中の弱い部分を突かれ、びくりと身体が跳ねた。縋るように視線を瑠夏へ向けると、細められた青が真っ直ぐに見返してくる。ぞくりと身体が粟立った時には、もう遅い。

「あ、あぁあ!」

びくびくと全身を痙攣させながら、俺は熱を吐き出さないまま絶頂を迎えた。それはあまりにも中途半端で、達したばかりのものは萎える気配を見せず昂ぶったままだ。

「ひぅ……っ!止め、あっ、あ!」
「っ、は……すごく敏感になってるね、っ、またすぐにイきそうなんじゃないかい?」
「駄目、だ……っ、苦し、瑠夏……!」

俺に触れている霧生の手に力がこもる。痛みを感じる程に強いそれは、それはまるで何かに必死に耐えているような、吐き出したい思いをひたすらに抑えているような、そんな辛さを伝えてくる。
それは敬愛するボスへの想いか……それとも、以前瑠夏が口にした、

「あぁっ!あっ、嫌、だ、また……っ!」
「んっ……ボクもだ、JJ……っ!」

前を握りこむ手の力が緩められ、そのまま上下に擦られる。吐き出せなかったものがせり上がってくる感覚と、先程より量の増した快楽が暴力的に身体を支配し、また絶頂を迎えた。瑠夏も深く貫いたまま奥へと欲望を注ぎ、俺はその熱を感じながら、白濁をまき散らしたシーツに倒れこむ。ずるり、と瑠夏のものが抜けると、奥に注がれたものが溢れ外へと流れ出してくる。その違和感と気持ち悪さを感じながら、俺の意識は沈んでいった。




「ん……」

寝苦しさにふと目を開く。まず感じたのは下半身の違和感と、全身がきしむような痛み。そして両側に感じる温度の違う2つの熱。
左右に視線をやると、右に居る瑠夏は俺に腕枕をした状態で、左に居る霧生は俺の腕にしがみつくようにして安らかな寝息を立てている。大の男2人にくっつかれては寝苦しいのも当たり前だ。離れようと身を捩ると、計ったようなタイミングで2人が小さく呻きを漏らす。

「んー……JJ……」
「ん……じぇい、じぇ……」

咄嗟に動きを止めたまま固まっていると、少ししてまた2人は安らかな寝息を立て始めた。起こしたところで罪悪感を感じる必要はない気もするが……仕方ない、と溜息を吐き、俺はまた目を瞑る。

暑いし、寝苦しい。何一つ自分に得はないと言うのに、それでもこの熱から離れ難いと感じるのはどういう訳だろう。
まだ身体は疲れていたらしく、思考を巡らすより先に俺は深い眠りについた。









おわり!